群馬工業高等専門学校 電子メディア工学科

半導体・ナノ光物性研究室(辰巳研究室)

National Institute of Technology, Gunma College

研究内容

研究テーマ1:二次元物質の光物性の研究

 原子1層から数層程度の厚さしかない二次元物質を原子層物質と呼び、グラフェン(炭素の原子層)、遷移金属 ダイカルコゲナイド(MoS2など)などの物質がユニークな物性を示すことで注目されています。

 このような物質の性質を調べる手法として、ラマン散乱現象を観測するラマン分光法があります。 ラマン散乱は光の非弾性散乱であり、入射光のエネルギーの一部が格子振動(原子の振動)に与えられ、 その差分のエネルギーをもった光が散乱されます。物質に緑色の光が入射した時に、よりエネルギーの低い (波長の長い)赤色の光が散乱されるようなことが起きるというわけです。 格子振動の持つエネルギーは物質の構造に依存するため、入射光と散乱光のエネルギー差(ラマンシフト)を解析することで、 それがどのような構造を持った物質かを調べることができます。 また、ラマン散乱のプロセスにおいては、電子が光とエネルギーのやり取りをする電子光子相互作用、および、電子が格子振動 とエネルギーのやり取りをする電子格子相互作用が深くかかわるため、このプロセスを深く考えることで、物質内の電子の 挙動を調べたり予測したりすることできます。

 本研究室では、入射光や散乱光として直線偏光や円偏光を用いたときに現れる二次元物質のユニークな光物性を、 第一原理計算を元にした理論計算や、高専に設置されているラマン分光装置を利用した実験によって解明しようとしています。

研究テーマ2:半導体製造プロセス技術(特にドライエッチング)の研究

 半導体製造においては、露光、成膜、エッチング、平坦化、イオン注入などの要素技術があり、 ウエハ(シリコン製の薄い円盤型の基板)に対してこれらの工程を数百から数千行程繰り返し行うことで1つの製品が出来上がります。 我々は、これらの要素技術のうち、ドライエッチングという技術に着目しています。 ドライエッチング(反応性イオンエッチング)では、処理チャンバー内にエッチングガスを封入し、高周波電圧を 印加してプラズマを生成します。プラズマを発生させた状態で交流電圧を印可すると、イオンによる物理的スパッタリングと、 ラジカルによる化学反応が同時に起こることで、異方性エッチング(深い穴を掘ったり溝を作ったりすること)が可能となります。 特に、アスペクト比の大きい(細くて深い)ホール加工が必要な3次元フラッシュメモリーの製造においてキーとなる技術です。

 本研究室では、ドライエッチングによるホール加工のウエハ面内均一性を高めるための技術について研究を行っています。 ドライエッチング処理を行うチャンバーでは、チャンバー内のどの位置かによってプラズマの密度分布に偏りが起きてしまい、それに起因して ウエハ上の位置(中心側か外周に近いかなど)によって加工形状が変わってしまう問題があります。これは、ウエハ全面から良品を取得する必要がある、 半導体製造の量産フェーズで致命的な問題です。チャンバー内のプラズマ密度分布と実際の加工形状の関係の解明、およびその 制御方法の開発を目的としています。

 現状は、高専の既存設備の利用等により、この課題に対して我々にできることを模索している段階です。